EDUCATION&RESEARCH

教育・研究

美術館と連携し,社会と美術の関わりについて学ぶ

教育学部 小池研二


概要

 この授業は中等教育における美術科の目的や内容を講義や演習を通して実践的に学ぶ。ここで紹介する活動は,本授業の一環として,さまざまな問題を抱える社会と私たちが専門とする美術との関わりについて,横浜美術館市民のアトリエと連携しながら学生自らが考え将来の教育活動に生かすものである。この活動は既に10年ほどの歴史がある。当初は横浜美術館を学生が訪問し,社会教育施設である美術館が市民に行う美術活動を現地で担当者から説明を受けることが主であったが,2015年度からは市民のアトリエが中心となり高齢者施設での造形的なワークショップに学生が参加する形態を取っていた。その内容はアーティストが施設利用者向けにワークショップを行い,本学学生は利用者をサポートしながら造形活動をするというものである。

 新型コロナ感染拡大等により高齢者施設での活動は休止しているが2021年度は講演会「認知症幻視体験のお話を聞く」三橋昭氏(レビー小体型認知症当事者)への参加,2022年度は自身が車椅子ユーザーであるアーティスト檜皮一彦氏の市民対象の活動「walking practice -ケアではない共存のためのトレーニング-」にスタッフとして参加するなどの活動を行っている。

特徴・効果・独創的な点

  • 美術館と連携し生涯にわたる美術の役割について考えること。
  • 教科横断的な視点に立ち美術から多様な学問分野や諸活動について考えること。
  • 多様な個性のある人々と共に活動することにより,社会の問題点と美術との関わりについての視点を持つこと。
  • 上記の観点から学校教育を振り返り,教育者として自分自身を振り返ること。

関連報告

  • 小池研二(2022)「生涯にわたる美術の体験とその学び―大学と美術館との協働授業―」『美術教育の理論と実践』第2巻,日本美術教育大学協会全国美術部門関東地区会,学術研究出版,pp.111-128.

参考

図1 高齢者施設での活動
図2 高齢者施設での活動
図3 檜皮一彦氏が大学を訪問し,学生が車椅子を運ぶ活動を体験する
図4 檜皮一彦氏 横浜美術館(仮施設)での活動(学生によるリハーサル風景)