教育学部 金馬国晴
概要
この科目では,総合的な学習(以下,総合学習)について,SDGsに関わるテキストとレクチャー,ワークショップを手がかりとして考察を深めること,チームで,そして各人が理想の単元案(学級か学校の数週間や数カ月分のカリキュラム計画)を構成することをめざす。(自主編成としての単元習作)
そのため,普段から地域や社会,世界の問題にアンテナを張ることができるよう,テキスト,書物,サイト,動画などを例として示し,語り合う場面を豊富につくっている。
特徴・効果・独創的な点
さらに具体的な履修目標と内容・方法は・・
- 総合学習に関する知識や技能を習得する。
長時間話してきかせることよりも,テキスト(実践記録,解説など)を予習で読んできてもらって質問を募ることで,総合学習らしい自学自習を学生としても経験する。 - 総合学習をめぐる思考力・判断力を,テキストを活用しつつ養う。
テキストは暗記の対象というよりも,考える素材と捉える。それでも足りないため,文献やサイト,動画をみるし,自分で探し出せるように多彩なホームページを示す。 - 各人が自分なりの単元案を探究し続け,ワークショップで協働してまとめ上げる。
単元案はJamboardを活用して,次第に書き上げる(以下の写真が完成例)。授業支援システムでの宿題で,17のゴールごとに設定した掲示板にアイデアを載せ合って,コメント交換をした後,講義では,同じゴールを選んだ2~5名前後でチームを組んで深めていく。 - 最終レポートでは,チームのJamboardを足がかりに,個々人で単元案をまとめ上げる。
ここで得た知見を,自分の研究課題に,また現在と未来の学校経験に活用する。
この科目以外にも,他の科目,教育実習,卒業論文,そして教師になってからの活用を見通せるようにする。
(以上は,初等教科教育法(生活)でも同様に進めている。)
関連文献
- 主テキスト) 小玉敏也, 金馬国晴, 岩本泰 編著『総合的な学習/探究の時間 -持続可能な未来の創造と探究』学文社,2020年
- サブテキスト) 金馬国晴 編著『カリキュラム・マネジメントと教育課程』学文社,2019年
- 参考書) 降旗信一, 金馬国晴, 加納寛子 編著『DX時代の人づくりと学び』人言洞,2022年
図1~4 Jamboardで各チームが協働して作った単元案の例。プログラムデザインまんだらという一種の「思考ツール」を活用する(上記・小玉他編50ページ参照)。
中央上から始まって,時計回りに一回転して戻ってくる,という単元の流れを,三重の同心楕円で表現しデザインする。ポイントは,付箋はまず大量に,ブレインストーミング的に書き・貼っておいてから,後で楕円の枠に配置して並べ直していくこと,誰が出したかは問わないこと,似ていて重ねたり,使わないので脇によけたりする付箋が生じることである。
水色は教師からか子どもからの欲しい「問い」で,単元の構造を見立てる軸や小単元の見出し,各授業の発問になる。