EDUCATION&RESEARCH

教育・研究

木質廃材のリサイクルを学ぶ教材の開発

教育学部(学生)野口晃生、矢部寛泰
教育学部附属横浜小学校 教諭 露木隆夫
教育学部 小林大介


概要

木材、木質材料は、地球温暖化に影響を与えている大気中の二酸化炭素を光合成によって取り込んで成長した樹木より得られる。その炭素の固形物である木材・木質材料を住宅や家具などの材料として私たちは利用している。よって、使い終わった木材・木質材料を燃やしたり腐らせたりしないで大気中に二酸化炭素として戻さずにリサイクルすることは、地球温暖化の抑制に大きく貢献することになる。木質廃材の多くは木質廃棄物処理工場(チップ工場)へ運ばれ、細かく切削され木質チップとなり、主に製紙用、パーティクルボード用、サーマルリサイクル用としてリサイクルされる。当研究室では、主に小学校にある工具・用具で小学生が自ら木質廃材をリサイクルすることができる教材の開発を行っている。本項では、①割り箸チップを用いたパーティクルボードの製作とそのボードを使った工作、②附属横浜小学校で行った折れた廃木製バットのリサイクルの2点について紹介する。

①割り箸チップを用いたパーティクルボードの製作とそのボードを使った工作

割り箸を鉛筆削りにて細かく切削し、水、酢酸ビニル樹脂エマルジョン系接着剤と混ぜて、型に入れてホットプレートで両面を焼成した。出来上がった割り箸パーティクルボードを時計の文字盤に利用して時計を製作した。本教材では実際の木材・木質材料のリサイクルを模倣することにより、そのリサイクル方法を学びながら、自ら作った材料で工作することができる。

図1 割りばしチップ
図2 割り箸ボード
図3 時計
②附属横浜小学校で行った折れた廃木製バット

プロ野球や社会人野球では独自に折れたバットのリサイクルが行われているが、大学野球ではあまりそのような事例は聞いたことがなく、横浜国大の硬式野球部でも選手が各自で廃棄していた。その廃バットを回収し、小学生が加工できる様、なるべくその形状を活かしたリサイクルを試みた。バットのグリップ部分はハンガー掛けに、折れた部分はキーホルダーやネームプレートに、ヘッド部分はミニテーブルの脚にリサイクルした。本教材では小学生が木製バットが違うものにリサイクルされる工程を自ら作業することで学びながら木材・木質材料のリサイクルについて意識付けを行うことができる。

図4 ハンガー掛け
図5
図6 ミニテーブル

特徴・効果・独創的な点

  • 木材・木質材料のリサイクルのフローや木材・木質材料を長く使うことが地球温暖化抑制に貢献していることを学ぶことができる。
  • 小学生でも短時間で簡単に安全に作業できる。
  • 身近な材料で課題解決の木のものづくりを学習できる。

適用分野・用途

  • SDGs
  • 地球温暖化の抑制
  • ゴミ問題
  •  小学校の総合学習の時間での課題解決のものづくり